羽生・行田の「田園風景」に癒される。クルマ社会前提のゆったりした地方暮らし入門

羽生・行田の「田園風景」に癒される。クルマ社会前提のゆったりした地方暮らし入門

リモートワークもすっかり定着したけれど、ふと気づくと一日中パソコンと向き合い、窓の外に見えるのは隣のビルの壁だけ…。「本当に、このままでいいんだろうか?」なんて、ため息がぽろりとこぼれる瞬間、ありませんか。何を隠そう、埼玉の魅力をお伝えする私自身も、時々そんな気持ちに襲われます。そんな時、無性にしたくなるのが、ただただ車を走らせること。遮るもののない広い空と、風に揺れる稲穂がどこまでも続く田んぼ道を駆け抜けるあの爽快感。今回は、そんな“何もない贅沢”が日常にある、埼玉県北部、羽生市・行田市の魅力について、じっくりお話ししたいと思います。

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なぜ今、羽生・行田なのか?ありふれた田舎じゃない3つの理由

「田舎暮らし」と聞くと、不便さや物足りなさを想像するかもしれません。ですが、羽生・行田エリアは、ただの田舎ではありません。都会の利便性を“いいとこ取り”しつつ、心穏やかな毎日を送れる「ちょうどいい」魅力に溢れているのです。その理由を3つのポイントから解き明かしていきましょう。

理由① 心を洗い流す、圧巻の「緑の水平線」がここにある

このエリアを車で走って、まず誰もが息をのむのは、その圧倒的な開放感でしょう。特に、行田市の「さきたま古墳公園」周辺から見渡す景色は格別です。夏には青々とした稲が、秋には黄金色の稲穂が、まるで海のようにどこまでも広がっています。私はこれを、海のない埼玉県が誇る「緑の水平線」と呼んでいます。視界を遮る高い建物がほとんどないため、空がとにかく広い。夕暮れ時には、刻一刻と表情を変える空の色を、ただぼーっと眺めているだけで心がすーっと軽くなっていくのが分かります。

また、行田には「古代蓮の里」があり、初夏には約1,400年前の蓮といわれる行田蓮が幻想的な花を咲かせます。歴史を感じる忍城址や古墳群と、この広大な田園風景が織りなす景観は、他のどの街にもない、この土地だけの宝物だと言えるでしょう。

理由② クルマさえあれば無敵!「じゃない方」の利便性

「駅近じゃないと不便」という考えは、ここ羽生・行田では一旦忘れてみてください。このエリアの暮らしは、クルマがあることが大前提。そして、クルマさえあれば、実は驚くほど快適なのです。例えば、日用品からファッション、映画まで何でも揃う巨大ショッピングモール「イオンモール羽生」。少し足を延せば、久喜市の「モラージュ菖蒲」や、圏央道を使えば「ららぽーと富士見」にもアクセス可能です。駐車場はどこも広大で、もちろん無料。「駐車場を探してウロウロ…」なんていう都会のストレスとは無縁です。

さらに、東北自動車道の「羽生IC」を使えば、都心まで約1時間。この「意外な近さ」が、平日と休日のオンオフを切り替えたい人には絶妙な距離感。休日には、そのまま北へ向かって栃木の那須や群馬の温泉地へ日帰りドライブ、なんて楽しみ方も気軽にできるのが、この場所ならではの特権なのです。

理由③ 「ちょうどいい」が心地いい。リアルな暮らしのコスト感

宅建士として、このエリアの最大の魅力の一つだと断言できるのが、暮らしのコストパフォーマンスの高さです。特に、住居費は都心やさいたま市中心部と比べて格段に抑えることができます。国土交通省の地価公示を見ても、行田市の住宅地の平均地価(2024年)は1坪あたり約11万円。これは、さいたま市浦和区の10分の1以下。つまり、同じ予算があれば、何倍も広い土地を手に入れ、庭付きのゆったりとした一戸建てを建てる夢が、ぐっと現実的になります。

出典:SUUMO 埼玉県行田市 土地価格相場情報

そして、嬉しいのは住居費だけではありません。エリア内には農産物の直売所が点在しており、朝採れの新鮮な野菜が驚くほどの安さで手に入ります。スーパーの価格も全体的に安く、日々の生活コストを実感として抑えられる。この経済的なゆとりが、心のゆとりに繋がることは間違いありません。

【宅建士のホンネ】
正直に言うと、土地は広すぎて「どう使おう?」と悩むくらいです(笑)。私が担当したお客様の中には、都内のマンションを売却して、こちらで広大な土地を購入し、家庭菜園はもちろん、ドッグランやDIY用のガレージまで作ってしまった方もいます。都会では決して実現できない「暮らしの可能性」が、ここにはゴロゴロ転がっていますよ。

羽生・行田暮らしのリアル。クルマ社会の光と影

ここまで良いことばかりをお伝えしてきましたが、もちろんリアルな暮らしには光もあれば影もあります。特に、クルマ社会ならではの特性は、移住を考える上でしっかりと理解しておく必要があります。

【光】駐車場ストレスからの解放!どこへ行くにもマイペース

このエリアに住んで最も感動するのは、駐車場の心配がほぼ皆無なことです。スーパー、市役所、病院、そしてほとんどの飲食店。どこへ行っても広々とした無料駐車場が完備されています。私が都心に住んでいた頃は、休日に買い物へ行っても駐車場を探すだけで30分以上かかり、それだけで疲れてしまうこともありました。あのストレスから解放されるだけでも、生活の質は爆上がりします。

休日は、お気に入りの音楽をかけながら、のんびりとマイカーでドライブするのが最高の息抜き。「今日は行田で名物の『フライ』を食べて、午後は利根川の土手をのんびり走ろうか」なんて、その日の気分で自由気ままに行動できる。このマイペースな暮らしこそ、クルマ社会最大の恩恵かもしれません。

【影】クルマがないと始まらない?正直なデメリット

一方で、光が強ければ影も濃くなるのが世の常。このエリアは、クルマがないと生活が成り立たないと言っても過言ではありません。鉄道はJR高崎線や秩父鉄道、東武伊勢崎線が通っていますが、駅から離れた住宅地が多く、路線バスも本数が限られています。そのため、ご家庭に一台ではなく「一人一台」がスタンダードになる場合も。そうなると、当然、車両の購入費や維持費(保険、税金、車検、ガソリン代)がかかってきます。この点は、移住計画を立てる際に、家計のシミュレーションに必ず含めておくべき重要なポイントです。

移住の前に知っておきたい!羽生・行田マニアック情報

ガイドブックには載っていないような、地元民ならではの楽しみ方を知れば、この土地への愛着はさらに深まるはず。ちょっとマニアックな情報をお届けします。

ソウルフード巡りが熱い!行田「フライ」と「ゼリーフライ」の世界

行田に来たら、これを食べずには帰れません。それが「フライ」と「ゼリーフライ」。名前からは想像もつかないB級グルメですが、これが絶品なんです。「フライ」は、お好み焼きのような、クレープのような不思議な食べ物。水で溶いた小麦粉を薄く焼き、ネギや肉、卵などを乗せてソースでいただく、シンプルながら後引く美味しさです。一方の「ゼリーフライ」は、おからとジャガイモを混ぜて小判型にして揚げたコロッケのようなもの。ゼリーは入っていません(笑)。銭(ぜに)の形に似ていたから「銭フライ」が訛ったという説が有力です。「かねつき堂」や「古沢商店」など、市内には数多くの名店が点在しており、店ごとに味が違うので、食べ比べの散策も楽しいですよ。

意外な穴場!羽生PA(上り)とイオンモール羽生の底力

地元民が意外とよく使うのが、東北自動車道の羽生パーキングエリア(上り)。ここは「鬼平江戸処」として江戸時代の街並みが再現されており、テーマパークのようで面白いのですが、実は一般道からも入れる「ぷらっとパーク」になっているんです。そして、ここの「ずんだ茶寮Cafe」で飲める『ずんだシェイク』は、わざわざ立ち寄る価値アリの絶品スイーツ。ちなみに、このずんだ茶寮、下りPAにもありますが、上りの方が雰囲気が良いのでおすすめです。

そして、やはり「イオンモール羽生」の存在は絶大。約200の専門店にシネコンまで完備。休日はここだけで一日過ごせます。地方暮らしというと「買い物が不便」と思われがちですが、これだけの規模のモールがあれば、何も心配いりません。

よくあるご質問(Q&A)

Q1: 冬の寒さや雪はどのくらいですか?

A1: 埼玉北部は「赤城おろし」という乾燥した冷たい風が吹くため、冬は寒く感じます。ただ、雪が積もることは年に1〜2回程度で、生活に大きな支障が出るほどではありません。スタッドレスタイヤは、持っていると安心ですが、必須とまでは言えない地域です。

Q2: 子育て環境(学校、病院など)はどうですか?

A2: 待機児童数は比較的少なく、のびのびと子育てしやすい環境です。学校や公園も十分にあり、子供が走り回れる場所には困りません。ただし、小児科や専門病院は限られるため、かかりつけ医は事前にリサーチしておくことをお勧めします。

Q3: おすすめの不動産(土地)の探し方はありますか?

A3: まずはインターネットで相場観を掴んだ後、実際に現地を訪れ、地元の不動産会社に相談するのが一番です。ネットには出ていない掘り出し物の情報を持っていることもありますし、何より地域のリアルな情報を教えてくれます。「この道は朝夕混む」「このエリアは水害に強い」といった情報は、地元業者ならではの強みです。

まとめ:何もない贅沢と、自分で描く暮らしがここにある

羽生・行田での暮らしは、都会のモノサシで測ると「何もない」ように見えるかもしれません。しかし、ここには都会が失ってしまった「余白」という名の贅沢があります。どこまでも続く空、風にそよぐ稲穂、満点の星空。そして、時間に追われることなく、自分のペースで一日をデザインできる自由。

この記事を読んで、心がざわざわと動き出したあなたへ。もしあなたが、

  • 都会のスピード感に少し疲れ、心穏やかな日常を取り戻したい方
  • 「駅近」や「ブランド」といった既成概念から自由になり、自分らしい暮らしを組み立てたい方
  • クルマが好きで、フットワークの軽さを生かした休日を楽しみたい方

であるならば、羽生・行田エリアは、きっとあなたを温かく迎え入れてくれるはずです。完璧な場所なんてないかもしれません。けれど、あなただけの「ちょうどいい」が、この広大な田園風景のどこかにきっと見つかるでしょう。まずは今度の週末、騙されたと思って、カーナビに行田の「さきたま古墳公園」とセットしてみませんか。アクセルを踏み込めば、新しい暮らしの扉が、案外あっさりと開くかもしれませんよ。

執筆者:ブログ作成の達人(埼玉県在住 宅地建物取引士)
※本記事の情報は2025年7月時点の調査に基づいています。最新の情報は各公式サイト等でご確認ください。

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